RFIDで棚卸は効率化できる?バーコードとの違いと導入前に知っておきたい注意点

2025.08.08 2025.11.12 情シス部門向け
  • Xでシェア
  • Facebookでシェア
RFIDはアパレル業界や交通系ICカードなどさまざまな業界で広く活用されています。棚卸業務においても自動化や効率化を実現し、ヒューマンエラーの抑制や人件費削減といった効果も期待できます。しかし、RFIDには金属に弱い、読み取りに失敗することがあるといった運用の注意点や、高コストなどの課題もあります。特に、社内資産の管理に使用する際には、これらの注意点を理解したうえで、棚卸の運用方法を徹底する必要があります。
本記事では、バーコードとRFIDの違いやRFIDを活用した棚卸のメリット、RFIDの導入検討時に注意すべき点について解説します。
この記事で分かること
  • バーコード棚卸とRFIDによる棚卸は、それぞれメリット・デメリットがあること認識しておく必要がある。
  • 特に、社内資産管理でRFIDを使用するには注意が必要。
  • 自社にあった棚卸方法を選択する際には、棚卸環境と運用方法を加味して検討していくことが大切。

棚卸業務への活用が期待されるRFID

RFIDという技術をご存知でしょうか?
RFIDとは、電波を用いて非接触でデータを読み書きするテクノロジーのこと。専用のICタグ(RFIDタグ)とRFIDリーダーで構成されています。ちょっと専門的な解説をすると、ハード端末(リーダー)から特殊な電波が送られ、RFIDタグのアンテナ部分でその電磁波をキャッチします。そしてICチップに書き込まれている情報を端末に無線で送り返す仕組みです。

某大手アパレル店では、商品を入れたかごをセルフレジに通すだけで値段が表示されますよね。あれに使われている技術がRFIDです。それ以外にも、交通系ICカードや車のスマートキー、物流業での出入庫管理などさまざま業界で活用されており、注目が集まっています。

RFIDを活用することで、今まで人の手で行われていた業務の「自動化」「効率化」が図れるようになり、さらにはヒューマンエラーの抑制や人件費削減といった効果も見込めます。

このRFID、実は社内資産の棚卸にも活用されているのです。 棚卸と言えば、資産を一つひとつ現物確認する必要があり、時間も人件費もかかる面倒な作業というイメージがあるかもしれません。しかし、RFIDを活用することで作業時間を大幅に削減することが期待できます。

RFIDの特徴とメリット、バーコードとの違い

棚卸を効率化するソリューションとしては、RFIDのほかにもバーコードがあります。紙やExcelに比べるとバーコード棚卸は非常に便利ですが、万能というわけではありません。例えば、バーコードだとラベルを一枚ずつしか読み取ることしかできず、すべての資産の情報を把握するのにはある程度時間がかかってしまいます。

その一方、RFIDは無線通信を使うことにより、一括で複数のタグを読み取ることができます。
電波が届く範囲なら離れた場所からでも読み取ることができ、UHF帯であれば数m~10m程度まで読み取ることが可能と言われています。この特徴により、大幅な作業時間の削減が期待できます。また棚卸の際、机の下など低い位置にある物を読み取るために腰を屈めなくてもいいというのも、実は大きなメリットです。

RFIDでの棚卸を検討するときに注意しなければいけないこと

前章でご紹介した特徴を見ると、RFIDは棚卸の効率化を実現する優れものと思った方も多いのではないでしょうか? ですが、RFIDをただ何となく導入してしまうと失敗することが多く、次のような点を事前に知っておく必要があります。

RFIDの読み取り率は100%ではない

「RFIDはリーダーから電波を飛ばせばあっという間に周囲のタグを全部読み取ってくれる」
こういうイメージを持っている方、少なくないのではないでしょうか?

しかし、実際にはRFIDはそこまで完璧なソリューションではありません。
まず頭に入れておかなければいけないのが、RFIDの読み取り率は100%ではないということです。最大で10m読み取れるRFIDリーダーでも、実際の読み取り距離は2mくらいなので、それなりに近づかないと読み取れないこともあります。

バーコードを使った棚卸であれば、リーダーを資産の目の前に持ってきてスキャンするので、読み取りに失敗したことがすぐにわかります。 しかし、RFIDで読み取ることができなかった場合、「読み取りに失敗したのか」それとも「そもそも対象の資産がないのか」という違いがわからなくなってしまうのです。その場合、資産が実際にあるかどうか改めて個別に確認する必要があり、時間がかかってしまいます。これは、パソコンなどのIT機器をRFIDで管理するときの一番重要な注意点です。

金属に囲まれた環境では読み取り精度が落ちる

RFIDは、金属に囲まれた環境下では読み取りの精度が落ちてしまいます。なぜかというと、金属面により電波があちこちに反射し、RFIDタグからの応答波が妨害されるためです。
また、例えば外側がプラスチックで作られているネットワーク機材があったとしても、プラスチックの裏に基盤が入っていたらその金属部分によって電波が影響を受けてしまいます。安価なタグだと極端に読めなくなるケースもあります(やはり、どんな製品でも「安かろう、悪かろう」になりがちということでしょうか…)。
そのため、IT機器管理にRFIDを使用する際には、特殊な材質や構造の高価な金属タグを使うことがおすすめです。

ちなみに、UHF帯(860~960MHz)の周波数帯のRFIDは特に金属の干渉を受けやすいので、金属に囲まれた環境では避けた方が無難です。

バーコードよりもコストが高くつく

RFIDは単価が高い点にも注意が必要です。昔に比べると安くなったとはいえ、現在でもバーコードよりは高額である状況は変わっていません。せっかく導入しようと思っても、相場を知っておかないと見積もりをとったら思った以上に高額で断念した、といったことになるかもしれません。

安いRFIDタグであれば10円を切ると記載されているWEBサイトもありますが、こういう場合、たいていはボリュームディスカウントを含んでおり、数千万枚発注しないとこの価格では買えなかったりします。これだと、結局トータルの価格は非常に高くなってしまいますよね…。

ちなみに当社では、タグが1枚100円前後、金属タグが1枚500円前後~となっており、リーダーは定価で約40万円です。 取り付ける対象物が多いほど当然多くのコストがかかるため、費用対効果をよく検討する必要があります。

RFIDでの棚卸が適しているケース

RFIDは棚卸に活用できるとはいえ、どんな環境でも効率的に使えるわけではありません。RFIDに適していないところで運用しても思ったような効果が得られず、コストばかりかさむことになりかねないので、どのような場面でRFIDでの棚卸が適しているかを知っておく必要があります。

一資産あたりの数量が多いがある程度まとまっており、同じ品番の資産を1つひとつ把握する必要がない場合はRFIDの強みを発揮しやすいです。また、社内在庫であってもパソコンの移動・持出管理であれば、持出・返却の際にタグを読み取ることで効率化できます。また、本棚に列挙されている物や書庫などの場合、ラベルの向きがすべて一緒の方向を見ているものはRFIDが適しています。

まとめ:RFIDの棚卸で効果が得られるかは運用次第

RFIDは、棚卸業務において大幅な効率化を実現する強力なツールです。運用環境と方法が適切であれば、膨大な資産を迅速かつ正確に処理できるメリットがあります。しかし、RFIDの導入に際しては、その特性と限界を十分に理解することが重要です。

読み取り率が常100%でないことを認識し、エラーが発生した際の対応策を予め整えておくことで、より確実な運用が可能となります。自社のニーズと環境に合った検討を行い、最適な運用方法を見つけましょう。